この年のオールスター戦は例年どおり、鈴鹿サーキットモトクロス場で行われた。今年も来た。今年も鈴鹿に来ることが出来た。ここに集まった人々はそんな思いが頭をよぎり、1月の寒風も熱い心に春風のように感じられたことだろう。
自分は、この大会ではメカニックとして鈴鹿に行った。鈴鹿のレストランや宿舎が思い出に残っている。メカニックといっても、エンジンの調子を見たりとか、足回りを瞬時にチューンしたり修理したりするメカニックと違う。
ま、雑用係りといったほうがいい。タイヤを運んだり、タイヤ交換のおてこをしたり、車体をきれいに拭いたりの仕事だ。でも、なんといっても一般客には入れないパドック内をウロウロ出来るだけで満足だった。
この日のために作り上げたカラフルで速そうな車たち、山と積まれた新品のタイヤ、散乱する工具類、つなぎ、レーシングスーツ、フルフェイスヘルメット、レーシング手袋が目に浮かぶ。改造車クラスの心地よいエンジン音そしてマフラーの爆音。そして、レーシングオイルの焼ける匂い。ワクワクした。
でも、なにかとけっこう忙しかったのだろう。激写する時間もなかったのか、そんな必要もなかったのか9枚の写真と、25年程前のわずかな記憶しか残っていない。
忘れないのは、この鈴鹿の帰り道に消え去ろうとしているラリー車クラスの車ではなく、ノーマルクラスでガンガン走れる車を買うことを決意したのであった。
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