
会場に到着すると、即、タイヤを交換した。サイドをジャッキアップしての前後タイヤ同時に交換する。速攻でやれば15分程度で終了する。お金に余裕があれば、路面の状況を見て今回のタイヤはこれ、みたいにチョイスするところだが、ま、そんな余裕はもちろんない。

コーナーを一つずつ丹念に見ていく。運転している目線まで腰を落しその光景をまぶたに焼き付けていく。コースを走っている様子を想像する、時には自分の足で走ってみる。コースのライン取り、ブレーキを踏むポイント、ハンドルを切り込むポイント、サイドを引くポイント、そして、路面の凹凸も頭に焼き付けていく。
時間のある限り何周もコースを歩いてまわる。そして、スタート地点からゴールまでのすべてのコーナー、走行ライン、ブレーキングポイント、ハンドリング、車の動きをイメージトできるようにする。速いドライバーと一緒に歩いて教えてもらったり、ひそかに後をついて後略ポイントを盗み聞きしたりもする。勝負はもう始まっているのだ。

たくさんの練習や大会に出た経験で、こういう路面やこういうコーナーでは、ここでハンドル切ればこう曲がって、ここでブレーキングをすれば、あーなって、こうなって・・・・等々、車の挙動が把握できていないとイメトレはできないのだ。
本番でそのイメージどおりに走ることができれば優勝への道が開ける。だが、そうはうまくいかない。路面状況、タイヤのワダチ、自分の体調や心身の状態(緊張感など)で刻々と状況は変わってくる。こういうときに、日ごろの修練の成果を発揮できるかできないか・・・・なのである。

スタート前2台ぐらいになったところで最後のイメージを描き、無の境地に入る。集中する自分を作り上げていく。ヘルメットをかぶり長袖を着て、レーシンググローブをしているのに、窓を締め切った真夏の車内でも汗が引く瞬間、それは、スタート地点についたとき。
愛車のエンジン音と自分の心臓の音しか聞こえない。ギヤが1速に入っているか何度も確かめる。「ドクン、ドクン、ドクン」スタートの旗が振り下ろされる。 さぁ、いけ!Go---!前方に見えるのは、第一コーナーのみだ。
この日、ラリー車1クラスは出場台数が少なかったのだろう、1、2クラスを統合されてしまう。ラリー車クラス総合6位におわる。・・・・・負けるときは負けるのだ。
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