2009年4月14日火曜日

「チームギャラリーダートトライアル」ゼッケン49(1981年9月20日)

 朝は6時には会場に到着するように、朝4時には自宅を出発した、遠い会場では3時半とかもありだった。だから、土曜日は車を洗いプラグを新品に交換し、競技用のタイヤを積み込んで準備万端にして、夜8時か9時には床に入った。

 会場に到着すると、即、タイヤを交換した。サイドをジャッキアップしての前後タイヤ同時に交換する。速攻でやれば15分程度で終了する。お金に余裕があれば、路面の状況を見て今回のタイヤはこれ、みたいにチョイスするところだが、ま、そんな余裕はもちろんない。

 朝早くても、主催チームによっては、ベニヤ板に模造紙に書かれたコースが発表されている。そういうときは、さっそくコースの下見に入る。

 コーナーを一つずつ丹念に見ていく。運転している目線まで腰を落しその光景をまぶたに焼き付けていく。コースを走っている様子を想像する、時には自分の足で走ってみる。コースのライン取り、ブレーキを踏むポイント、ハンドルを切り込むポイント、サイドを引くポイント、そして、路面の凹凸も頭に焼き付けていく。

 時間のある限り何周もコースを歩いてまわる。そして、スタート地点からゴールまでのすべてのコーナー、走行ライン、ブレーキングポイント、ハンドリング、車の動きをイメージトできるようにする。速いドライバーと一緒に歩いて教えてもらったり、ひそかに後をついて後略ポイントを盗み聞きしたりもする。勝負はもう始まっているのだ。

 そして、何度も目を閉じ完璧に最後まで走る姿を想像し組み立てていく。ゴールまでイメージできれば完了だ。この、イメージトレーニングは頭の中でイメージするタイムと実際に走るタイムと不思議に誤差がほとんどない。何度も何度もイメージトレーニングする。

 たくさんの練習や大会に出た経験で、こういう路面やこういうコーナーでは、ここでハンドル切ればこう曲がって、ここでブレーキングをすれば、あーなって、こうなって・・・・等々、車の挙動が把握できていないとイメトレはできないのだ。

 本番でそのイメージどおりに走ることができれば優勝への道が開ける。だが、そうはうまくいかない。路面状況、タイヤのワダチ、自分の体調や心身の状態(緊張感など)で刻々と状況は変わってくる。こういうときに、日ごろの修練の成果を発揮できるかできないか・・・・なのである。

 そう、ライバルと競うのではない、自分との戦いなのだ・・・そんなことに気が付き、わかり始めたのはこの頃だったとおもう。一度でも一瞬でも「チーッ!」とミスれば、百分の一秒で負ける。そうさ、すべては自分のせいなのだ。時の運、不運でさえも自分にかかっているのかもしれない。

 スタート前2台ぐらいになったところで最後のイメージを描き、無の境地に入る。集中する自分を作り上げていく。ヘルメットをかぶり長袖を着て、レーシンググローブをしているのに、窓を締め切った真夏の車内でも汗が引く瞬間、それは、スタート地点についたとき。

 愛車のエンジン音と自分の心臓の音しか聞こえない。ギヤが1速に入っているか何度も確かめる。「ドクン、ドクン、ドクン」スタートの旗が振り下ろされる。 さぁ、いけ!Go---!前方に見えるのは、第一コーナーのみだ。

 この日、ラリー車1クラスは出場台数が少なかったのだろう、1、2クラスを統合されてしまう。ラリー車クラス総合6位におわる。・・・・・負けるときは負けるのだ。
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